住宅ローン7000万・子供2人の教育費シミュレーション|年収1300万でも破綻するパターンとは

「世帯年収1,300万円。うちは余裕のある『勝ち組』だと思っていた。子供が中学受験塾に通い始めるまでは。」

最近、SNSや相談の現場で、このような悲鳴にも似た声をよく聞きます。 いわゆる「パワーカップル」と呼ばれる世帯ですが、都内で7,000万円〜8,000万円のマンションを購入した瞬間、その余裕は「砂上の楼閣」となります。

多くの人が計算に入れていない、家計を破壊する「3つの時限爆弾」があるからです。

  1. 隠れ住居費(ローン返済以外のコスト)
  2. 変動金利の上昇(0.7% → 1.0%へのシナリオ)
  3. 私立中学の教育費(終わらない課金ゲーム)

「まさか自分が」となる前に、数字で現実を見てみましょう。感情論は抜きです。計算の話をしましょう。

※「シミュレーションとか面倒だ」「数字を見るのが怖い」という方は、記事を読む前に[FPの無料ライフプラン診断]で、「今の生活レベルで何歳まで生き残れるか」を算出してもらうのが一番の近道です。まずは、プロに家計の『安全地帯』を算出してもらいましょう。
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前提:シミュレーターが弾き出す「リアルな住居費」

まずは、家計のベースとなる「住居費」を正しく把握します。 銀行の返済予定表だけを見て「月々18万円か、余裕だな」と思っているなら、その認識が命取りです。

当サイトの[不動産投資・マイホームシミュレーター]を使って、隠れたコストまで洗い出してみます。

シミュレーション条件

  • 物件価格: 7,000万円(フルローン想定)
  • 金利: 変動 0.7%(※10年目から1.0%へ上昇と仮定)
  • 期間: 35年
  • 管理費・修繕積立金: 月40,000円(※築年数が経てばもっと上がる可能性あり)

計算結果:月々の支払いはいくらか?

金利0.7%の時点での返済額は、約18万8,000円です。 しかし、ここに以下のコストが乗ってきます。

  • 管理費・修繕積立金: 40,000円
  • 固定資産税・都市計画税(月換算):約36,000円
    • ※軽減措置終了後(6年目以降)の本来の税額を想定。7000万円クラスなら年間40万円超は覚悟すべきです。

これらを合計すると、実際の住居費は「月額 約26万4,000円」となります。 銀行が表示する返済額より、約7.6万円も高い。これが現実です。

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手取りから「残り」を計算する

世帯年収1,300万円(夫800万・妻500万)の場合、手取り額はざっくり年間950万円(月平均79万円)程度です。

ここから引き算をします。

  • 手取り: 790,000円
  • 住居費: ▲264,000円
  • 基本生活費: ▲300,000円
    • ※食費・光熱費・通信費・保険・夫婦の小遣いなど。この層なら30万は普通に使います。

【残金】226,000円

「月22万円残るなら、まだなんとかなるのでは?」 そう思ったあなた。甘いです。

ここからが本題です。この22万円を食い尽くす「破壊神」が登場します。

検証:教育費と金利上昇の「ダブルパンチ」

子供2人(2歳差)が、周りの流れに乗って「中学受験(私立)」ルートに進んだ場合を想定します。

1. 教育費のピーク(子供:中1・小5〜)

私立中学の学費は、平均して年100万円〜120万円。これに塾代や交通費、部活の費用が加わります。 さらに、下の子が小学5年生になると、中学受験塾の費用が跳ね上がります。

  • 上の子(私立中):月 80,000円
  • 下の子(受験塾):月 50,000円 〜 100,000円

この時期、教育費だけで月15万円〜18万円が飛んでいきます。

先ほどの残金 227,000円 から 180,000円 を引くと、残りはたったの 47,000円 です。

2. 金利上昇の追撃(0.7% → 1.0%)

さらに、このタイミングで、変動金利がわずか0.3%上がったとします。 7,000万円の残債がある状態で金利が0.7%から1.0%になると、月々の返済額は約1万円アップします。

  • 残金 47,000円 − 金利上昇分 10,000円 = 残り 37,000円

結論:貯蓄が全くできない状態

つまり、月3万7,000円しか残りません。 これで、以下の費用をすべて賄わなければなりません。これも一例に過ぎません。

  • 家族旅行(年1回でも20万〜)
  • 家電の買い替え(冷蔵庫・洗濯機で30万〜)
  • 車の維持費・買い替え積立
  • 夫婦の老後資金の積立
  • 冠婚葬祭などの予備費

これらを全て叶えたら計算するまでもありません。完全に赤字です。 毎月の収支は完全にマイナスで、ボーナス頼みの状態です。また、生活費は通常の生活費です。外食、近場のレジャーが入ればもっとお金がかかりますよね。洋服、化粧品もデパートでなんてとても買えない。ゴルフにも行けない。つまり、生活して節約しているのに全然お金が貯まらない、と苦しんでいる状況になります。家族にも不和が起きそうな危機的状況です。

こうして、世帯年収1,300万円の家庭は、教育費とローンのダブルパンチによって、「外からはリッチに見えるが、内情は火の車」という状態に陥ります。

あなたの家計、金利が何%になったら破綻しますか? 「変動金利のリスク」と「教育資金のピーク」。この2つが重なるタイミングを正確に把握できていない人は危険です。 自分で計算するのが難しい場合は、FPに「金利上昇リスクを含んだキャッシュフロー表」を作ってもらいましょう。転ばぬ先の杖です。
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対策:破綻を避けるためのロードマップ

では、どうすればいいのか? 対策は「短期(止血)」と「中期(成長)」に分けて考える必要があります。

【短期】今すぐ決断すること(止血)

すでに契約済み、あるいは子供が小さい場合は、以下の選択肢を検討してください。

  1. 「公立ルート」への変更 「周りが行くから」という理由だけで私立を選ぼうとしていませんか? 高校まで公立に行き、大学だけ国立や私立理系にするだけで、子供2人で2,000万円近くのキャッシュが浮きます。これは老後資金そのものです。
    公立の中学・高校に進学しても本人次第ではないでしょうか?あなたも環境が整っていたら勉強していましたか?環境のせい、環境のおかげ、というよりあなたがやったかやらなかったか?ではないですか?胸に手を当てて考えてみてください。
  2. 物件の売却 もし購入前なら、7,000万円は「身の丈に合っていない」と認める勇気が必要です。収入と支出バランスが生活の質や心の平穏を左右します。購入後でも、資産価値が落ちていないなら、売却して賃貸に戻るのも立派な戦略です。

【中期】大学入学までの10年でやること(成長)

止血ができたら、次は家計を強くします。

  1. インフレに負けない「投資」 学費は年々値上がりしています。現金を銀行に置いておくだけでは、インフレに負けて実質的な価値が目減りします。 教育費のピークが来る前、あるいは過ぎた後に、月3万円でも5万円でもNISA(全世界株など)に回し、「お金に働いてもらう」仕組みを作ってください。
  2. 人的資本の強化(転職・副業) 節約には限界があります。 月3万円を節約する労力よりも、スキルアップや転職で「手取りを月5万円増やす」ほうが、実は再現性が高い場合が多いです。私自身、会社員としての給与収入があったからこそ、6,400万円の資産を築くスピードが加速しました。

「投資を始めたいけど、教育費とのバランスがわからない」 そんな方は、資産運用の得意なFPに相談してください。「教育費を確保しつつ、老後資金も作る」ための最適な配分を教えてくれます。
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まとめ:契約書にハンコを押す前の「ストレステスト」

「年収が高いから大丈夫」「なんとかなる」 この慢心こそが、最大のリスクです。

  • 金利 1.0%
  • 子供2人 私立中学
  • 隠れ住居費(税金・修繕費)

この3つの条件が重なったとき、あなたの家計は何歳で貯金が底をつくか? これを知らずに7,000万円の借金を背負うのは、目隠しをして高速道路を走るようなものです。

自分で計算するのが第一です。自分で何度も再計算できるためですし、1つ1つの収入、支出への確認にもなるからです。でも、自分の出した答えに不安を持った場合やどうしても計算できない場合は、プロ(FP)に「最悪のシナリオ」を作ってもらってください。 本当の安心は、最悪のケースを直視し、対策を打った後にしか訪れません。

あなたの家計の診断する 「まだ大丈夫」と思っている今こそが、見直しのラストチャンスかもしれません。

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