【ペアローンの罠】世帯年収1400万で文京区8000万マンション。離婚率35%を無視した「エリート夫婦」の末路

「降水確率1%」なら、あなたは傘を持って出かけますか? おそらく持たないでしょう。 では、「降水確率35%」ならどうですか? 多くの人が折りたたみ傘をカバンに入れるはずです。

しかし、こと「住宅ローン」となると、多くの人がこの確率論を無視して、「35%の雨(離婚)」には傘を持たず、「1%の小雨(金利上昇)」ばかりを気にしています。

  • 住宅ローンの破綻率:約1〜2%
  • 日本の夫婦の離婚率:約35%(厚生労働省「人口動態統計」より)

出典 : 令和6年(2024) 人口動態統計月報年計(概数)の概況

私たちは「金利が0.1%上がって破綻しないか(1%のリスク)」には異常に神経質になるのに、「3組に1組が他人になる(35%のリスク)」ことについては、「うちは大丈夫」と根拠なく無視します。

あなたの周りはどうでしょうか?私の親戚、友人に何人も離婚した人がいます。住宅を購入する若い人は結婚したての人が多いので離婚しているケースは稀かと思うので、自分は該当しないと考えるのも頷けます。それに幸せの家を購入するときに離婚することを考えたくないですしね。

そのような状況下でなぜ、1~2%の方に目がいき、35%の方は無視できるのでしょうか。どう考えてもリスクは35%の方にあります。その時点で、「理性<感情」 になっているのではないでしょうか。

今回は、都内でも特に教育熱心なエリア「文京区」を舞台に、ペアローンという名の時限爆弾を抱えたエリート夫婦のシミュレーションを行います。


1. 事例:文京区に憧れたパワーカップルの「誤算」

ここに、都内の大手企業に勤める一組の夫婦がいます。 彼らがマンションを購入したのは、変動金利が底値圏だった2020年のことです。

  • 夫(当時35歳): 年収700万円
  • 妻(当時35歳): 年収700万円
  • 世帯年収: 1,400万円
  • 子供: 0歳(生まれたばかり)

第一子が生まれ、将来の教育環境を考え始めた彼らは、治安と学校区が良い文京区の3LDKマンションを8,000万円で購入しました。

夫の単独ローンでは審査が通らない金額ですが、ペアローンを使えば世帯年収の約5.7倍。「銀行が喜んで貸してくれる」金額です。不動産屋も太鼓判を押しました。

「都内のマンション価格は上がり続けている。今買わないと一生買えない」 「家賃を払い続けるより資産になる」 「2人で返せば、月々の支払いは今の家賃と変わらない」

生まれたばかりの我が子を抱きながら、彼らは「最高の城を手に入れた」と信じて印鑑を押しました。 しかし、その契約書が「逃げ場のない契約」であることに、当時は気づいていませんでした。

彼らを待ち受けているのは、2つの地獄シナリオです。


2. 地獄パターンA:離婚「しない」場合でも…QOL崩壊

「私たちは仲が良いから離婚なんてしない」 仮にその愛が永遠だったとしても、ペアローン(借入限度額いっぱい)の生活は、経済的な綱渡りになります。

彼らを襲うのは、「金利上昇」「コスト増」「教育費」のトリプルパンチです。

① 変動金利の上昇

2020年当時は「変動金利0.4%」が当たり前でしたが、日銀の利上げにより、もし金利が「2.0%」まで上がったらどうなるか? 8,000万円もの巨額借入だと、金利が数%上がるだけで、月々の返済は数万円〜十万円単位で跳ね上がります。

② 管理費・修繕積立金のインフレ

マンションの管理費や修繕積立金は、資材高騰・人件費高騰で全国的に値上げラッシュです。 購入時は月3万円でも、10年後には月5〜6万円になるのはザラです。

③ 文京区の「教育費」という沼

これが最大の誤算です。文京区に住むということは、周りの子は当たり前のようにSAPIX(進学塾)に通い、私立中学を目指します。 中学受験には、小学4〜6年生で約300万円かかります。私立中学に入れば、学費は年間100万円です。

銀行だけがほくそ笑む結末

「子供の教育のために」文京区に買ったはずの家。 しかし現実は、8,000万円のローン返済と管理費の支払いで家計はカツカツ。 教育費を捻出するために、家族旅行は我慢、外食は禁止、夫婦は残業続き。

あなたの給料は、右から左へ銀行に吸い取られ続けます。 QOL(生活の質)を犠牲にして、銀行のために働いているようなものです。

【シミュレーターで現実を知る】 「もし金利が上がったら? 管理費が上がったら? 毎月の収支はどうなる?」 感覚で語るのはやめましょう。私のツールで、リアルな未来を計算してみてください。本当に数万、十万円単位で変わるのか?
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3. 地獄パターンB:もし「離婚」したら…

生活がカツカツになれば、心に余裕がなくなり、夫婦喧嘩が増えます。「金の切れ目が縁の切れ目」とはよく言ったものです。 そして、統計通り「35%」の確率で離婚が訪れた時、ペアローンは「逃げ場のない監獄」に変わります。

ここには、パターンAの苦しみに加え、法的な地獄が追加されます。

① 「連帯保証人」という呪い

ペアローンの本質は、お互いが「主債務者」であり、同時に「連帯保証人」であることです。 離婚して赤の他人になっても、銀行は絶対に連帯保証人を外してくれません。お互いをお互いが生贄として銀行に捧げているのです。

もし元夫が家に住み続け、その後メンタルを病んでローンを滞納したら? 銀行は、別居して新生活を送っている元妻の給与や口座を差し押さえに来ます。 「もう離婚した」は銀行には通用しません。

② 売れば解決? 「手数料300万」の壁

「揉めるくらいなら売って精算しよう」 そう思っても、不動産の売却には巨額のコストがかかります。

8,000万円で買った家が、奇跡的に8,000万円(値下がりなし)で売れたとしましょう。 それでも、手元に8,000万円は残りません。

  • 仲介手数料(3%+6万円): 約270万円
  • 印紙代・登記費用・引越し代: 数十万円

売った瞬間に約300万円のマイナスです。 もし残債が8,000万円残っていたら、貯金から300万円を現金で出さない限り、売ることすらできません(オーバーローン)。 売りたくても売れない、住みたくもない家に縛られる地獄が始まります。

③ 居住権争いという泥沼

仮に売らない場合でも揉めます。「子供の学校があるから引っ越したくない」と妻が主張し、夫が出て行くケース。

夫は「住んでいない家のローン」と「自分の新居の家賃」と「養育費」の三重苦を背負います。これで破綻しない方がおかしいのです。


4. シミュレーション:もし「片方」の収入が消えたら?

ペアローンの最大のリスクは、「2人の収入が今後35年間続くこと」を前提に、借入額を最大化してしまうことです。

離婚しなくても、病気や育休で片方の収入が減ることは十分にあり得ます。

10年前はペアローンなんて使っていませんでしたよね?夫婦で仕事をする家庭が増えましたが、当時は専業主婦であった妻の労働力がバッファになって、支払いが大変な時でもカバーできる状態でした。ペアローンは二人の力を出し尽くした状態になってしまっているのでバッファがないのです。

私のシミュレーターを使って、一度「怖い計算」をしてみてください。 入力するのは「世帯年収」ではありません。「あなたの年収だけ(片方の年収)」です。

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どうでしょうか? その返済額、一人で払えますか? もし「払えない」という結果が出たなら、その物件は身の丈に合っていません。身の丈に合っていないはずなのに買ってしまっている or 買おうとしている状態じゃないですか?


結論:家は「1人の年収」で買える範囲にしろ

文京区という「住所」を持つことがステータスなのではありません。 「家族が笑顔で暮らせる経済的余裕」があることこそが、本当の幸せなはずです。

冷静に考えてみてください。今の時代、一般的なサラリーマン家庭であれば、都心の一等地に住もうが、少し離れた郊外に住もうが、日常の景色はさほど変わりません。

  • 食費は近くのスーパーで特売品を買い、
  • 日用品はドラッグストアで揃え、
  • 洋服は機能的なUNIQLOを着て、
  • 週末の外食はファミレスで済ませる。

8,000万円のマンションに住んでも、地に足のついた生活自体は変わらないのです。

しかし、「見栄」を捨てて身の丈に合った家を選んだ家庭とは、残酷なほどの「差」がつきます。 その差は、日々のスーパーの買い物ではなく、人生の質に関わる部分に現れます。

  • 思い出の質: 我慢せずに行ける家族旅行の回数やグレード。
  • 未来の安心: 複利で増え続ける金融資産の伸び幅。
  • 老後の余裕: 不安のない十分な蓄え。

これから金利が上がる時代。 「見栄」のために、そして不確実なパートナーの収入を「あて」にした希望的観測で、数千万円ものレバレッジ(借金)をかけるのは、個人の投資戦略としてあまりに危険であり、ナンセンスです。

「もう遅い…」と不安になった方へ

「記事を読んで青ざめた…今のローンで本当に大丈夫か?」 「すでにペアローンを組んでしまっているが、対策はないか?」

もしシミュレーション結果を見て不安になったなら、不動産屋ではなく、中立な第三者であるプロ(FP)に「家計の耐久テスト」を依頼してください。

不動産屋が紹介するFPは、「家を買わせるためのセールスマン」です。彼らの「大丈夫ですよ」は信じてはいけません。一方、自分で選ぶ「第三者のFP」は、あなたの「家計を守る用心棒」です。素人判断で「まだ大丈夫」と放置して、リスクが顕在化してからでは手遅れです。

  • 今の家計で、金利上昇にどこまで耐えられるか?
  • ペアローンのリスクを減らすための、繰り上げ返済や借り換えプランは?

プロの視点で診断してもらうだけで、将来の破綻リスクを大幅に下げることができます。 今なら無料で相談できます。35%のリスクが現実になる前に、対策を打ちましょう。

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